構造太郎です。
2019年1月から、一定の建築物に対して積雪荷重を割り増しすることになりました。建築基準法(告示)の改正です。
みなさんは理解して設計に反映していますか。
改正に至った経緯
平成26年2月、関東甲信地方を中心とした大雪は、その後の降雨によって、大きな屋根の崩落など被害が発生しています。
このような経緯から一定規模以上の建築物については、積雪後の降雨の影響を考慮し、割増係数を乗じた積雪荷重で設計を行うことが義務付けられました。
対象となる建築物は?
対象となる建築物は、以下4項目のうち、いずれにも(全てに)該当する建築物となります。
- 多雪区域以外の区域にある建築物(垂直積雪量が15㎝以上の区域に限る)
- 屋根重量が軽い(屋根版がRC造などではない)
- 大スパン(棟から軒までの長さが10m以上)
- 15度以下の緩勾配
積雪荷重の割増係数(α)の算出
割増係数の算出式は以下の通りです。
割増係数 $$α=0.7 + \sqrt{\frac{dr}{ub・d}} $$
α :割増係数(1.0未満の場合は1.0)
dr:屋根部分の最上端から最下端までの水平投影長さ及び屋根勾配に応じて下表に掲げる数値(単位:m)
ub:屋根形状係数 =√cos(1.5θ)
d :垂直積雪量(単位:m)
水平投影長さ(m) |
屋根勾配(度) |
drの数値 |
10 | 2以下 | 0.05 |
15 | 0.01 | |
50以上 | 2以下 | 0.14 |
15 | 0.03 |
あなたは割増係数を算出できますか?
あなたは簡単に割増係数を算出できますか。私は正直なところ、戸惑いました。。。
一旦、落ち着いて考えてみることにしましょう。水平投影長さ(X)と屋根勾配(Y)、この2つのパラメータ(変数)を用いた2つの直線補間で解決します。
まずdrの表から、4つの点が決まりますね。
- 水平投影長さ10mの場合で屋根勾配2度以下の場合はdr=0.05
- 水平投影長さ10mの場合で屋根勾配15度の場合はdr=0.01
- 水平投影長さ50m以上の場合で屋根勾配2度以下の場合はdr=0.14
- 水平投影長さ50m以上の場合で屋根勾配15度の場合はdr=0.03
ここで、1と2の点と点を線で結びます。つまり直線補完ですね。
水平投影長さ10mとした場合の直線が出来上がりますので、ある屋根勾配(Y)をパラメータとしてdrを算出できます。ここで算出したdrをdr1とします。
同様に、3と4の点と点を線で結ぶことで、水平投影長さ50m以上の場合の直線が出来上がり、ある屋根勾配(Y)をパラメータとしてdrを算出できます。ここで算出したdrをdr2とします。
ここまでが、1回目の直線補間と理解してください。
続いて2回目の直線補間を行います。
dr1とdr2の点と点を線で結ぶことで、ある屋根勾配(Y)の場合の直線が出来上がり、求めたい水平投影長さ(X)をパラメータとしてdrが算出できます。
最終値drが求まり、割増係数が算出できましたね。みなさん理解できたでしょうか。
こっちは急いでんだよ。そんな時間ねーんだよっていう、そこのあなた。以下のサイトをご覧ください。
drの表と算出式からも分かるように、勾配が小さいほど・水平投影長さが大きいほど・積雪量が小さいほど、割増係数が大きくなりますね。
以上、構造太郎でした。
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