構造太郎です。
免震層のクリアランスは、構造計算を行わない場合と構造計算を行う場合とで告示上の規定が異なります。
構造計算を行わない場合に適用する規定(第4第2号へ)
上部構造と当該建築物の下部構造および周囲の構造物その他の物件との水平距離が、上部構造の部分ごとに、次の表に掲げる当該部分の周囲の使用状況に応じた距離以上であること
周囲の使用状況 | 距離(単位 m) | |
(1) | 人の通行がある場合 | 0.5 |
(2) | (1)に掲げる場合以外の場合 | 0.4 |
(1)は、実況に精通している居住者若しくは関係者のみが通行する場合
(2)は、(1)以外の場合で、通常は人の接近が不可能な場合、あるいは、人の頭より高い位置にある等で人に接触するおそれのない部分である場合となります。
構造計算を行う場合に適用する規定(第6第3項第5号)
上部構造と当該建築物の下部構造および周囲の構造物その他の物件との水平距離が、上部構造の部分ごとに、それぞれ免震層の地震応答変位に次の表に掲げる当該部分の周囲の使用状況に応じた距離を加えた数値以上であること及び免震層の風応答変位以上であることを確かめること。
周囲の使用状況 | 距離(単位 m) | |
(1) | 人の通行がある場合 | 0.8 |
(2) | (1)に掲げる場合以外の場合 | 0.2 |
(3) | (1)及び(2)に掲げる場合以外の場合 | 0.1 |
計算によって算出した応答変位に上表の数値を加えた値以上のクリアランスを確保することが求められています。
(1)は、不特定多数の通行人の通路として使用されている場合
(2)は、実況に精通している居住者若しくは関係者のみが通行する場合
(3)は、(1)(2)以外の場合で、人の接近が不可能な場合、あるいは人の頭より高い位置にある等で人に接触するおそれのない部分である場合となります。
免震層ピットの擁壁までのクリアランスについては、(3)に該当しますね。
その他
クリアランスの規定で、「周囲の構造物その他の物件」とあります。
「周囲の構造物その他の物件」とは、隣接する建築物、物置、駐車施設、当該建築物敷地の擁壁等の物体のほか、隣地境界、道路境界なども含まれます。
隣地境界との間隔については、民法で「建築物を築造するには境界線より50㎝以上の距離を存することを要す」とあるようです。民法についても考慮しなければいけませんので、注意しましょう。
またクリアランス寸法は、建物の配置計画に大きく影響しますので、建物の計画段階から十分に意匠担当者と協議するようにしたいですね。
参考サイト
http://www.mlit.go.jp/notice/noticedata/pdf/201703/00006509.pdf
以上、構造太郎でした。
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