ひび割れ誘発目地とは

ひび割れ

構造太郎です。

コンクリートの収縮ひび割れ対策として、一般的にひび割れ誘発目地を計画します。

ひび割れ誘発目地(以下、目地)とは、ひび割れを制御するために設ける継ぎ目のことです。

目地を設けたが思ったような効果が得られず、目地以外にもひび割れが生じてしまうことが多いのも現実のようです。

有効な目地とするためには、目地の間隔(本数)目地の深さを適切に設定することが重要です。

目地の間隔(本数)が有効に機能しないケース

【現象】 目地内にひび割れが発生したが、目地以外にもひび割れが生じたケース

【原因】 目地間隔が広すぎる(目地の本数が不足している)

【対策】 目地間隔を狭くする(目地の本数を増やす)

ひび割れ本数≦目地本数とすれば、目地以外にひび割れは生じないと考えられます。もちろん理論上ですが、、、

つまり変形量(収縮量)が一定と仮定すれば、変形量・ひび割れ本数・平均ひび割れ幅の関係は下式で説明できます。

拘束に伴う変形量(一定) = ひび割れ本数 × 平均ひび割れ幅      

平均ひび割れ幅を支配する大きな要因は鉄筋比です。鉄筋比が大きい場合ひび割れ幅が小さくなる一方、鉄筋比が小さい場合ひび割れ幅が大きくなります。

鉄筋比がパラメータとして入ってきますが、標準的な壁部材の鉄筋比は0.4%程度と考えていいと思います。よって、標準的な条件は、壁部材の鉄筋比0.4%程度の場合、目地間隔を3m程度で設定することとなります。 目地間隔3mが突然出てきましたが、「鉄筋コンクリート造建築物の収縮ひび割れ制御設計・施工指針(案)・同解説 P.101」(日本建築学会)から引用しました。また一般的に採用されている目地間隔だと思います。

鉄筋比が0.8%程度に(大きく)なるとひび割れ幅が小さくなり、ひび割れ本数が2倍(ひび割れ間隔が1/2)となるため、目地間隔は1.5m程度にする必要があるということです。

※「鉄筋コンクリート造建築物の収縮ひび割れ制御設計・施工指針(案)・同解説 P.94(日本建築学会)では、過大なひび割れとならないように、外壁の鉄筋比0.4%以上、内壁の鉄筋比0.3%以上とあります。厚さ150mm D10@200ダブル配筋で0.47%、厚さ180mm D10@200ダブル配筋で0.39%なので標準的な壁部材(鉄筋比0.4%)には、目地間隔 3m程度でよいでしょう。

目地の深さが有効に機能しないケース

【現象】 目地内にはひび割れが発生せず、目地以外の部分にひび割れが生じたケース

【原因】 目地深さの不足

【対策】 断面欠損率を20%以上確保すること

「鉄筋コンクリート造建築物の収縮ひび割れ制御設計・施工指針(案)・同解説 P.101」(日本建築学会)には、“誘発目地の深さ(欠損率)は、施工時の実壁厚に対して1/5以上とし、かつ誘発目地の間隔は3m以下とする”とあります。欠損率は下式です。

欠損率=目地深さの総和/全壁厚

この欠損率を20%以上確保することが重要です。

目地の目的は、コンクリート断面を欠損させ、強度が低下した部分を作り、そこにひび割れを誘発させることです。十分深い目地を設ければ、目地以外の部分との強度差が大きくなり、目地にひび割れが集中しやすくなります。反対に、目地が浅い場合、目地とそれ以外との強度差が小さく、強度的な弱点となる目地本来の働きをなさないで、目地以外にひび割れが生じることになります。

目地と目地以外の強度差を確保するために、欠損率が20%以上必要だということですね。

以上、構造太郎でした。

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