構造太郎です。
海岸近くの建築物に対しては、塩害対策を行ったりします。その他いろいろな要因がありますので、整理しましょう。
塩害とは
塩害とは、コンクリート内部に塩化物イオン・酸素・水の劣化因子が侵入することにより、鉄筋が腐食する現象です。
塩化物イオンは、コンクリート製造時の材料に含まれる内在塩分や海岸近くの飛来塩分、凍結防止剤などの外来塩分などがあります。この塩化物イオンがコンクリート内部に浸透します。
内部鉄筋位置における塩化物イオン濃度が腐食発生限界(1.2kg/m3)に達すると腐食抑制機能をもつ不動態被膜が破壊され、酸素と水の供給により鉄筋に腐食が生じ、腐食の進行に伴う発錆の体積膨張圧によってひび割れや剥離に進展します。
外観・変状
中性化同様、鉄筋の腐食が顕在化するまで外観の変状は認められません。コンクリート表面に顕在化した場合は、ひび割れ・錆汁・剥離などの変状が見られます。
塩害に対する予防対策
まずは発錆の原因となる劣化因子(酸素・水)の侵入を遮断することが重要です。
コンクリート内部の塩分拡散速度はフィックの第2方程式で把握できること、コンクリートの組織が緻密なほど塩化物イオンが浸透しにくいという特徴から、以下の対策が挙げられます。
- 環境条件・耐用年数に対する必要かぶり厚さを求め、適切なかぶりを確保すること
- 水セメント比を小さくし、組織の緻密化を図ること
- 塩化物イオンをフリーデル氏塩として固定化し、拡散防止を図ること(高炉セメントの採用など)
- 塩化物イオンを含むことが懸念される海砂から山砂への置換
塩害に対する補修・補強対策
塩害が、潜伏期・進展期・加速期・劣化期、どの状態であるのかを、目視やコア採取による塩化物イオン量、鉄筋の腐食状態から判断し、それらの状態に対応した補修・補強対策を行うことが重要です。
潜伏期 :劣化因子の侵入を防ぐ表面被覆・含浸工法の採用
進展期・加速期:劣化因子である塩化物イオンを除去する電気化学的脱塩工法の採用、鉄筋の腐食(アノード反応)を停止させる電気防食工法の採用など
劣化期 :劣化部分を除去し、新たに断面を修復する断面修復工法の採用など
以上、構造太郎でした。
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